当社のルーツは私が25年間勤務していた合成樹脂の専門商社です。
大手化学品メーカーのグループ会社で、当然ながら親会社及びグループ会社の製品を主に問屋筋や大手ユーザーに販売していましたが、関連の商品を他メーカーからも仕入れたり、協力工場を使い合成樹脂を加工して自社ブランドで販売したりと、一般的な商社に比べ広範囲に柔軟な販売活動をする会社でした。
また販売先も、電機業界、建設業界、流通業界、農業漁業の一次産業と多岐にわたり分散しておりました。
総合商社なら当たり前なのですが、特定のメーカーの子会社で特定材料の専門商社としてはめずらしく、とても守備範囲が広い分散型でした。
この「守備=分散」がこの会社の強みでもありました。
何らかの商品が、何らかの業界が、芳しくなくてもそのいずれかが好調で会社全体を平穏に保つ機能を持ち合わせていました。
例で言いますとAという食品用容器が他社に注文を取られても、Bという電気部品が新たな採用になったり、Cという建築材料が時代遅れで廃盤になっても、Dという高機能素材が携帯電話に使われるなど、その商品、その業界に集中していないからこそマイナス要因があっても会社全体は大きなダメージを受けない仕組みが出来上がっていました。
世間でよく言われる商売の8:2の法則があります。全体の2割の売り先で8割の売り上げ額がある。どの業界にも良く当てはまる法則です。この法則は現実的に避けて通れず、各担当部署の売上配分は殆どといっていいくらいあてはまっていました。
この一つの担当部署が2割の売り先のうち1件の取引先を落としただけで売上の2割~3割を落とすことは珍しくありません。十分に警戒していても決済事故を引き起こすこともゼロではありません。
そのときこそこの「分散」の威力は発揮されます。
当社が、のぼり旗だけ、盆栽だけ、雑貨だけの会社にしなかったのは、そのお手本の会社があったからです。
もちろん小規模で分散なんて心配しすぎと思われますが、小規模だから、ネット販売だから、どうしても1店舗では超えられない売上額の層があります。
これは、当社が扱う商品の殆どがコアな部類で、世間で大量に求められる商品ではないこと、そして国内でしか販売しないことで、どうしてもある程度の市場占有率まで到達しだすと売り上げの上昇率が落ちるためです。ならば汎用品を増やすかとなれば、利益追求型の経営方針にてそれは避けてきています。この利益追求型もサラリーマン時代の経験からの方針です。
一見、何でも屋と思われがちですが、結構考えて会社を作ったのです。(本当ですよ!!)