かしわバター丼の秘密

先日、テレビ番組で当地香川県の代表的「丼」として「かしわバター丼」がピックアップされました。

 

このかしわバターは私の40数年来の友人が世に出したメニューなのです。

 

今もご夫婦ともご健在で、第2?いや第3?いや第4の人生を歩まれています。人生の楽園よろしく、ご主人は一時期天然木の家具作りをされていましたが、今は晴耕雨読の日々を悠々自適に送られています。奥様は野菜作りに精をだされて採種から苗立てまでされる名人で、当家へも月に1~2回野菜を持ってきてくれて美味しく頂いています。

 

もう一組の夫婦と3組でお遍路さんも2巡しました。旦那衆3人で「三匹のおっさん」風に時々悪い遊びも楽しんでいます。(笑)

 

でも現在巷で提供されている幾多の「かしわバター丼」は昭和60年当時のオリジナル品に比べると「近からず遠からず」が殆どで、当時のパンチと旨さ加減、その味の完成度からは差があるように思います。

 

私の年齢からくる老いで味覚や好みが変化しているのもあるけど作り方から違うから、その差を埋めることはできないと思うし、だから地元の食通の間では伝説になっているんだと思います。

それはそれで物語があって面白いのではと思います。

 

私は今も時々、あの時の味を忘れないためにもリクエストするのですが、「かしわバター」を焼き込んだフライパン、正確にはあの中華鍋がないとあの味が出ないそうである。

新品の中華鍋ではだめで、かしわバターをある程度作り続けた中華鍋でなくてはあの香ばしい加減が出ないそうです。

 

もともとお酒の好きなマスターが自身のビールに合うつまみで作っていたかしわバターを丼にしたのが始まりで、熱中症予防にビールジョッキ片手に水分を補給しながら作っていたかしわバターは、道具からこだわった職人の味だったのです。現在巷のソレは特製たれで味付けされているようですが、当時はフライパンの中で調理しながら調味して完成させていましたからそこが大きな違いですね。

 

向かいのお米屋さんから仕入れていたご飯もおいしいし、沢庵も味噌汁もおいしくて、さすがにホテルの和食の調理人をしていただけのことはありますね。奥さんも実家が仕出し屋さんでしたから、夫婦で追及された味は、大衆食堂の中でも群を抜いていました。

 

私が知り合ったのは、定食提供時代からで、その頃は、補助の板前さんもお手伝いさんもいて沢山のメニューをこなしていましたが、いつのまにか夫婦だけで回せる丼専門店になり、晩年には「かしわバター丼」と「焼肉丼」の2品だけでフル回転していたのですからさすがです。

 

でも伝説の味、もう1回食べてみたいですね。やっぱり・・・

 

こういう今は食べられなくなった伝説の味って博物館みたいなところでレシピだけでも残しておいてほしかったですね。

 

飯山の木村のうどんの「急須に入っていたかけだし」とか国分寺の「まんどぐるまのラーメン」も懐かしいですね。