画像の「寿松」は最高落札価格100万円超えの品です。業者オークションで現地落札価格ですから市場価格はいくらになるのでしょうか?
残念ながら海外バイヤーに落札されたので私たちは知る由もありません。このように現在盆栽市場は輸出が主力になっており、産地も業者も大商いを目指す人達は輸出が当たり前の流通対象となっています。
日本で数十年、物によってはそれ以上かけて育てられた日本の宝ですが、商売ですから背に腹は代えられません。日本に残れば芸術品、輸出すれば園芸品と割り切るのみです。
当地、松盆栽の産地もお父さんやお爺さんが畑に植えた素材をいかに価値に替えるかが後継者の悲願でしたので、この輸出ブームは、まさに渡りに船で、その通り船に乗って盆栽は国外へ出かけていきま~す。
逆にここは一気に輸出に傾注して、畑の大きな黒松を一掃してしまうくらいの勢いが必要です。なぜなら、すでに海外でも素材は作られ始めていますので20~30年もすれば、現在有望な輸出先は自身で輸送費や経費のかからない素材を身近に調達できる環境が整うからです。
すると、ここから先に新たに盆栽農家(産地)として作付けするのであれば施設園芸で小品盆栽の素材を手掛けると国内ユーザー向けには対応できますが、当地の生産者はこの分野へは長年距離を置いてきた領域にて、どこまでこの小さく特異な市場に入り込めるかは見通せないでしょう。行政にも、ここに着目してきた形跡はなく埼玉県や愛知県のような産地に追いつくのは至難の業であろう。
松平家12代当主松平賴壽が小品盆栽の宗家であるにもかかわらず、盆栽の活性策において高松市は絶好の材料を見逃してしまったのは残念なことでした。
ま、とりあえず輸出により畑の盆栽が商品化できることを今は素直に喜びましょう。
松平賴壽が残した小品盆栽の文化と歴史は、我々、国風香川玉藻小品盆栽会が趣味の領域として未来に伝えてまいります。